炭酸飲料市場拡大の恩恵を受けるB2B企業および二酸化炭素ビジネスに強い上場企業レポート

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要点
1. 炭酸ガス供給・回収大手（産業ガス事業）
2. 炭酸水製造設備・プラントメーカー
3. OEM・受託製造企業
4. 二酸化炭素回収・CCS関連上場企業（テーマ株）
5. 投資視点と今後の展望
結論と推奨アクション

要点

国内炭酸飲料市場は2024年に生産量23,596,300kl（前年比+1.6％）、販売金額4兆7,313億9,000万円（+6.4％）とともに過去最高を更新し、B2Bサプライヤー各社の成長を後押ししている[ ]。炭酸ガス供給、液化・回収技術、製造設備、OEM受託製造などの分野で、以下の企業が大きな恩恵を受けている。

1. 炭酸ガス供給・回収大手（産業ガス事業）

企業名	証券コード	事業概要	特長
エア・ウォーター	4088	炭酸ガス・液化炭酸ガス製造・供給	国内ドライアイス市場の約50％を占めるトップサプライヤー。炭酸飲料用から溶接・冷却・農業用まで用途多岐1.
岩谷産業	8088	産業ガス全般（CO₂、LNG、LPガス等）	液化CO₂製造能力を国内有数。食品・飲料向け顧客基盤強固。再生可能エネルギー事業への投資も推進。
大阪ガスリキッド（大阪ガス）	9532	液化炭酸ガス・ドライアイス製造・販売	LNG冷熱利用による省エネ液化技術で製造能力250t/日、ドライアイス26t/日×2基を保有2.
長岡炭酸	（非上場）	液化炭酸ガス・ドライアイス製造	INPEXからの副生CO₂を原料に、高純度液化・ドライアイス生産を実施し、環境保全と安定供給を両立3.
大陽日酸（日本酸素HDグループ）	4091	CO₂回収装置の開発・販売	中小規模排出源向けPSA方式CO₂回収装置を商品化（10t/日、CO₂濃度98％）し、幅広い原料CO₂濃度20–60％に対応4.

2. 炭酸水製造設備・プラントメーカー

企業名	主要製品	強み
アルテック（新潟鐵工所グループ）	炭酸水製造ライン（カーボネーター、充填機他）	世界導入実績多数。高炭酸強度対応、ワンストッププラント提案5.
友桝飲料	OEM受託製造（炭酸飲料）	小ロット多品種小回り生産。JAS認可炭酸飲料OEM事業で全国地サイダー等を手がける6.
有限会社ユウアイ	小型炭酸充填機	中小規模向けハイスペック充填機（0.2–0.5t/h）、強炭酸4.2GV対応。12カ月無償保証付き7.
テトラパック	処理・充填ソリューション	的確な混合制御技術で品質安定。グローバル大手飲料メーカー導入実績8.

3. OEM・受託製造企業

企業名	事業内容	特徴
アサヒソフトドリンク（アサヒGHD）	炭酸飲料OEM	大手飲料メーカーのブランド製造を一手に担い、最新衛生基準と自動化ラインを保有。
友桝飲料	清涼飲料・酒類OEM	小ロット多品種対応。地サイダー等差別化商品開発力強し6.
サントリービバレッジソリューション	OEM・PB受託	PB（プライベートブランド）含む多様ニーズに対応。先端分析・品質保証体制を完備。

4. 二酸化炭素回収・CCS関連上場企業（テーマ株）

近年のカーボンニュートラル推進に伴い、二酸化炭素の回収・貯留・リサイクル（CCUS）が注目され、以下の上場企業がテーマ株として挙げられている（NIKKEI COMPASS「CCSのテーマ株」より）9.

企業名	証券コード	業種	主な取り組み
関西電力	9503	電力	発電所排ガスからのCO₂回収実証プロジェクト。
日本製鉄	5401	高炉製鉄	メタネーション技術によるCO₂リサイクルメタン製造。2030年までにCO₂排出30％削減目標。
三井物産	8031	総合商社	海外CCSプロジェクト投資・技術開発支援。
三菱重工業	7011	総合重機	CCSプラント・機器のエンジニアリング能力。
丸紅	8002	総合商社	CO₂回収・貯留実証事業の商業化支援。
デンソー	6902	自動車部品	工場排ガスCO₂回収システムと水素製造装置の組合せでCO₂循環システム構築10.

5. 投資視点と今後の展望

安定収益源としての産業ガスセグメント
- 炭酸ガスは年間需要約100万t、うち飲料用は夏季ピーク。産業ガス大手は収益の柱として位置づけ、設備投資を継続1.
CCUS・メタネーション技術への注力
- 回収装置販売とプラント受注で成長余地大。産業界からのニーズ増加に対応し、政府目標（2030年度▲46％）を追い風に4.
OEM・設備メーカーの中小企業向け需要
- 地方商社や中小飲食店、自社ブランド参入へのB2B受注拡大。小型充填機やOEM受託が新規顧客層を掘り起こす。
ESG・脱炭素投資の追い風
- カーボンプライシング、補助金制度拡充によりCCUS企業への資金流入加速。テーマ株としての市場評価が向上中。

結論と推奨アクション

投資家にとっての注目銘柄：エア・ウォーター（4088）、岩谷産業（8088）、大阪ガス（9532）は炭酸ガス・CCUS両面で安定・成長期待が高い。
短期成長テーマ：小型充填機・OEM受託製造のユウアイや友桝飲料など中小機器メーカーへのアロケーションも検討価値あり。
中長期視点：CCS関連大手（関西電力9503、日本製鉄5401、三菱重工業7011、三井物産8031、丸紅8002）の技術商社案件・プラント受注動向に注目。

炭酸飲料市場の拡大トレンドを背景に、産業ガスサプライヤー、設備メーカー、CCUS技術企業のビジネスが一層活性化すると予想される。上記企業群へのポートフォリオ組み入れが、日本株投資の専門家にとって有益な戦略となるだろう。

出典