なぜVISAがブロックチェーン実用化を推進するのか

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**要点：**VISAは既存の大規模データセンターを活用しつつ、ブロックチェーン（特にステーブルコイン技術）を導入することで、国際送金のコストと時間を大幅に削減し、新たな「プログラム可能なデジタルマネー」インフラとしての優位性を確立しようとしています。

1. 国境を越えた決済の高速化・低コスト化

従来の国際送金は複数の仲介機関を経由するため、手数料が高く、決済完了まで数日かかることもあります。VISAはブロックチェーンを使って決済ネットワーク上での直接的なトークン化（ステーブルコイン化）を進め、仲介を排除することで、送金コストの削減とほぼリアルタイム決済を実現しようとしています【1】。

2. 365日・24時間稼働する決済インフラ

従来の決済システムは銀行営業時間や祝日に制約を受けますが、ブロックチェーン上のステーブルコイン決済なら、週末や祝日を問わず取引を継続できます。実際にVISAは2023年にUSDCによる決済パイロットを開始し、2025年までに全マネームーブ機関へステーブルコイン戦略を義務づける方針を示しています【2】。

3. 「プログラム可能なマネー」としての新サービス創出

VISAは「Visa Tokenized Asset Platform（VTAP）」を通じて、銀行が法定通貨担保型トークンを発行・管理し、スマートコントラクトで自動化された金融商品を提供できる環境を構築しています。これにより、与信審査や担保管理の自動化、複雑な融資ラインの瞬時実行など、従来の手作業ベースの業務を大幅に効率化します【8】。

4. セキュリティと透明性の強化

ブロックチェーン技術は「不変性」と「分散台帳」による改ざん耐性を持つため、決済履歴の追跡・監査が容易になります。VISAは内部実験を通じて、ERC-20トークンでのガス代支払い抽象化やアカウントアブストラクション技術の研究も進めており、UXを損ねずに高度なセキュリティを実現しようとしています【6】。

5. 競争優位の維持・新規市場開拓

既存のクレジットカード業界はフィンテック企業や暗号資産スタートアップとの競争が激化しています。VISAがブロックチェーン実用化を主導することで、新興市場や未銀行化地域へのリーチを拡大し、従来の決済インフラに依存しない新たなビジネスモデルを構築できます【5】。

**結論：**VISAは大規模データセンターを背景に持ちながらも、ブロックチェーン技術を取り入れることで、従来の国際送金・決済の課題を解決し、新たな「プログラム可能なマネー」市場におけるリーダーシップを狙っています。これにより、コスト削減、即時決済、365日稼働などのメリットを実現し、既存インフラとの差別化を図る戦略を推進しているのです。